大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)1428 判決

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主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士宇佐美明夫の上告理由第一点について。

原判決によれば、甲第二号証約束手形の振出人欄に押捺されてある被上告人の住所

印、氏名印(いずれもゴム印)、角印(朱肉印)が被上告人のものであることは認め

るが、右氏名印を自捺したものであること及びその名下の印影が被上告人のものであ

ることは被上告人においてこれを否認しているというのであるから、この場合、民訴

三二六条に従い甲第二号証が全部真正に成立したものと認め得べき限りではない。従

つて、原判決には立証責任の存在を誤つたかきんありというを得ない。所論は、右に

反する独自の所見であつて、採るを得ない。

同第二点について。

被上告人が第一審において甲第二号証の被上告人名下の印影が被上告人のものであ

ることを認めた陳述は真実に反し且つその陳述が錯誤に出でている旨の原審の事実上

の判断は、挙示の証拠に照らし首肯できなくはない。従つて、原判決には所論のかき

んありというを得ず、所論は結局原審の裁量に属する事実上の判断を云為するに帰す

るものであつて、採るを得ない。

同第三点について。

甲第二号証の振出人欄を見るに、大阪府泉南郡a町b、D金属製作所、D団治なる

三個の記名印が相並んで押捺されてあり、右三個の記名印にまたがつてD金属製作所

之印と刻印された角形の朱印が押捺されているのが認められる。してみれば、振出人

の署名に代えることを得る記名捺印あるものとは到底認めるを得ない。その他の所論

は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものでしかなく、その

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間に経験則違反等のかきんあるを見出し得ない。それ故、所論はすべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり

判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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